江戸川橋から神楽坂へ


長年東京でクラシック関連の仕事に携わっていても初めて行くホールというのはあるものである。本日「たましみず(玉木優清水真弓トロンボーンデュオ)リサイタル2012」で伺ったトッパンホールもそのひとつ。併設されてる印刷博物館は来たことがあるのに、ホールは初めて。落ち着いた雰囲気の室内楽を聴くには丁度良いホール。
彼らのような世界的にも評価の高い実力のある若いトロンボーン奏者たちが、悩みながらも自分の立ち位置と音楽を探るべく試行錯誤を続けてゆくのは重要な事である。トロンボーン・デュオが室内楽として誰もが楽しめるジャンルに育つには、まだまだレパートリーに乏しいし、演奏する方も聴く方も「どこを聴かせたいのか・何が聴きたいのか」という音楽的ポイントも抑えづらい。今後は是非とも委嘱などを増やして二人ならではの音楽を作り上げていけば、自ずとトロンボーン・デュオの世界観が出来上がってくるはずである。パイオニアというのは苦しみもあるが、自分たちが作ったスタイルがスタンダードになるという醍醐味がある。
さて終演後、来た方向(江戸川橋)へ戻るよかぁプラプラしながら帰るのも良いと思い、神楽坂を抜けて飯田橋から帰ることにした。道すがら浴衣姿の男女が多いなと思って歩いていると、やがてチャンチキや太鼓の音と共に阿波踊りの一団が目に入ってきた。今日は神楽坂はお祭りのようだ(何故阿波踊りなのかは不明)。坂に入る角を曲がると様相は一変して祭りは最高潮に達していた。露店でビールとつまみを買いながらしばし見物する。その後、通りがごった返している分、通り沿いの店でも比較的空いていたのでビアホールに滑り込み、さらにもう一杯ひっかけてから帰路についた。
食事をして帰ろうとは思っていたが、祭りは予定外だっただけにとても得した気分。