この夏を精一杯生きた蝉が最期の一時に選んだのは
我が家のベランダでした。
焼けた身体、ボロボロの羽根、眼ももう
ほとんど見えていないでしょう。
意識が混濁して自分が何処にいるのかも判らくなった今
彼女の想いは何処の林に馳せているのでしょうか。
この小さな身体に力強さと儚さを秘めて
密やかに一つの蝉の生命が逝きます。