感謝の一日でございました


※公益財団法人さいたま市文化振興事業団の許可を頂いて掲載しております。
「さいたまが誇る芸術家が魅せる「気軽にクラシック」Vol.10〈トリオYaS-375〉2本のサクソフォーンとピアノでお贈りする愉しい午後(平成24年9月29日/プラザウエスト さくらホール)」公演日でした。
さいたま市に在住されている山田忠臣さんと國末貞仁さん、YaS-375部長(!・笑)のピアノの小柳美奈子さん、私の師匠でもありザッツ・サクソフォン・フィルハーモニーを指揮者である近藤久敦先生、さいたま市で活動をされているザッツ・サクソフォン・フィルハーモニーさん、彼らが一堂に会して演奏会を開くという、このような素晴らしい企画を立ち上げから関われたことは大変光栄ですし、主催である公益財団法人さいたま市文化振興事業団と会場であるプラザウエストの皆様にはとりわけ惜しみないご尽力に感謝いたします。
今回の公演も大きな縁の連続で出来上がる人の輪があってこその事であると本当に有り難く思いました。そのほかにも短いスケジュール(しかも同時期に別件のお仕事を発注していた)にも関わらず、YaS-375とザッツのために素晴らしい編曲作品を書いていただいた高橋宏樹さんを始めとする作編曲者の皆様や、普段から彼らの活動を応援していただいている皆様のご協力には有り難い気持ちでいっぱいですし、そしてなんと言っても、聴いて頂いて彼らに惜しみない拍手を送られていたお客様、本当に有難うございます。
中には初めてサクソフォーンによる室内楽やオーケストラを聴かれた方もいらっしゃったようですが、大変喜んで頂けたようで、そういった方々にサクソフォーンの魅力を知って頂けることこそ「気軽にクラシック」に彼らが登場した大きな意味であると思います。
また、ザッツ・サクソフォン・フィルハーモニーさんからとても刺激的だったという感想を頂きました。アマチュア演奏家の団体がYaS-375という、日本のクラシカルミュージックの第一線で活躍されている演奏家とコラボレーションすることにより市民生活・市民文化がさらに向上します。このあたりは主催者であるさいたま市文化振興事業団さんが当初から目標としていたところでもあり、今回も上手くいったのではないかと思います。
公演自体は本当に素晴らしく、プログラムが進む毎に拍手の音や歓声が大きくなっていくのでボクは嬉しくてたまりませんでした。YaS-375の演奏とレパートリーはこれまで何度も聴いているのですが、聴く度に音楽的な発見があり楽しいです。また、ザッツさんとのコラボレーションは、とってもゴージャス。ここがさいたま市の端にある区の(ひとつ残念なのは鉄道のアクセスが悪いのです)小さな音楽ホール(といっても400人収容で音響はプロフェッショナルにも評判の響きです)で鑑賞しているとは思えない、大きく豊かな響きでした。皆さんの力量が並々ならない事を改めて感じました。
全く個人的な感想をひとつ。アンコールで小柳さんが弾いたソロ曲「吉松隆:秋:11月の夢の歌(《4つの小さな夢の歌》より) 」は、ボクのリクエストに応えていただいたものなのです。YaS-375のコンサートではいつも2部のスタートは小柳さんのソロで始まりますが、今回の2部はザッツとのコラボレーションでしたので企画の流れ上ソロはなくなってしまっていたのですが、何とアンコールで弾いていただけました。
以前、小柳さんとは〈Pas de Chats〉というデュオのアルバム「チェシャねこ風パルティータ」のデザインのお仕事でご一緒させていただいたのですが、そこに収録されていた曲の中に《4つの小さな夢の歌》がありました。ボクはこの組曲の1stエディット(アルバムを作る際、録音されたテイクから作った最初の編集バージョン)を聴きながら街を歩いていて思わずハラハラと涙が止まらなくなってしまったことがあるのです。
この組曲、今年のNHK大河ドラマで使われているのを耳にした頃、ちょうど今回の演奏会の企画も進んでいました。その頃はまだ2部のステージの流れが決まっていなかったので、冒頭のピアノソロの話は残っていました。大河では「春:5月の夢の歌」「夏:8月の歪んだワルツ」が流れていたし、ちょうど演奏会は秋なので「秋:11月の夢の歌」が良いと思ったのです。それで企画者のちょっとしたワガママでリクエストしていたのです。その後、小柳さんから作曲の吉松さんに楽譜を問い合わせていただいた様だったのですが、2部の頭からザッツのステージになる流れになったので、ピアノソロもなくなってしまったのかとちょっと残念に思っていたのです。ところがアンコールで弾いて頂けた。小柳さんの演奏を聴くとどうしても涙腺が緩んでしまうボクはそういった経緯で倍増されウルウルなんてもんじゃありません。*1
なんという幸せな一日なのでしょう! 終演後は出演者の皆で打ち上げてこちらも大盛り上がりでした。

チェシャ猫風パルティータ

チェシャ猫風パルティータ

*1:ちなみに小柳さんは今回の大河、《4つの小さな夢の歌》ではなくて(こちらは確か舘野泉さん)、須川展也さんや山口多嘉子さんと『サイバーバード協奏曲』で共演されています