Polyomino

トロンボーン奏者としてだけでなく作編曲家として多くの作品を世に出されている村田陽一さんは、ご自身のオリジナルナンバーを描かれる時は特に特定の情景や感情などをテーマにしないため、曲が出来上がった時点でタイトルがあることはまずないそうです。なので村田さんのライヴなどに出かけると「2011年のM20」とか、そういうナンバリングのままで披露されることも多いのです。ところがこれが委嘱作品だったりアルバムに収めなければならないとなると、やはりタイトルを付けない訳にもいかず本当に苦労されるそうです。本人はタイトルを付けるのが苦手だと仰ってますが、村田さんの音楽のタイトルはとても洒落ていて語感がとても良いし、音楽にピタリと寄り添っているものが多いように思います。
そんな中でも「Polyomino」という作品はタイトルと曲ソノモノの連動が秀逸です。この作品はブラス・ヘキサゴンの委嘱として今年始めに初演され、その後は村田さんの主宰されるSolid Brassなどでも演奏されており、ブラス・ヘキサゴンの編成(金管六重奏)で楽譜も出版されています。
さて「Polyomino(ポリオミノ)」って何ぞや、という方にご説明。ポリオミノは正方形の組み合わせによって出来る図形全般を指す言葉です。一つの正方形だと「monomino(モノミノ)」以下、二つ「domino(ドミノ)」、三つ「tromino(トロミノ)」、四つ「tetromino(テトロミノ)」、五つ「pentomino(ペントミノ)」、六つ「hexomino(ヘキソミノ)」・・・となります。以下に図解しますが、ヘキソミノになると60個も描かなければならないのでご勘弁(金管六重奏のために書かれているので本来ならこれが一番大事なのかもしれませんが)。

有名なのがピザや倒すのでお馴染みのドミノ、それと落下パズルゲームで有名な《テトリス》に出てくるテトロミノです。
曲もテューバ1本によるビート感(表紙)がクルクル変わる主題を下地にどんどん外の楽器が重なり・離れ・繋がり・循環し・響き合う。複雑な構造に聴こえるのですが理屈は簡単明瞭で爽快。まさに〈Polyomino〉なのです。
そんな曲にアマチュアながら我々も取り組みます。今年発表され、ブラス・ヘキサゴンや村田さん関連のライヴでしか演奏されていませんので、乞うご期待。


さいたまファンファーレクラブ第17回演奏会
日時|2012年10月21日(SUN)13時開場 14時開演
場所|彩の国さいたま芸術劇場 小ホール
入場|無料
曲目|C.サンサーンス:動物の謝肉祭
   村田陽一:ポリオミノ ほか

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