NEW SOUNDS IN BRASS 2019

自分が子供の頃に慣れ親しんできたモノを大人になった自分が手がける立場になるという経験を、大変幸運なことに何度かさせていただいているのですが、この度『NEW SOUNDS IN BRASS 2019』のCDデザインを担当させていただきました。ニュー・サウンズですよ。吹奏楽ポップスの草分けにして唯一無二の存在ですよ。学生の頃はカッコ良いサウンドを求めて切磋琢磨し、アルバムを聴いてはそのサウンドに憧れたあのニュー・サウンズですよ!
 
ボクがKOSEIレーベルを通じて吹奏楽や管楽器奏者のソロのCDアルバムをデザイン制作に関わるようになった1997年頃というのはCDの売り上げが頂点に達していた時期で、中でも東芝EMIさんの手がけられる大阪市音楽団の交響曲集やフェネルのマーチ集や須川展也さんやトルヴェール・クヮルテットなどのアーティストアルバム、そしてニュー・サウンズ・イン・ブラスは、私にとって最大のライバルであり、憧れであり、目標でした。常にあれを超えるアートワークをしなければと意識していた存在です。
なので昨年、レコーディングエンジニアの小貝俊一さんを通じてNSB(現在のレーベルはユニバーサルです)のオファーをいただいた時は、なんというか、驚きました。一生オファーはないと思い込んでいたライバルチームからの誘いなのですから。
 
ところが、いざ敵陣に乗り込むつもりでスタジオに入ってみると、ミュージシャンはすっかり入れ替わったとはいえ見知った顔ばかりの東京佼成ウインドオーケストラ、調整室にいるのは、小貝さんを筆頭に、天野さん、(高橋)宏樹さん、星出さん、黒川さん、フロレスタンの佐藤さんなどなど、いっぺんにお会いしたことはないものの、長年苦楽を共にしてきた人々ばかり。アウェーかと思ったらホームゲームだった。あとからスタジオに入ってきた三浦(秀秋)さんがボクが余りに馴染んで談笑しているので笑われてしまったよ笑。
 
楽譜が素晴らしいのは勿論ですが、TKWOの演奏がとにかく素晴らしいです。ポップスオーケストラとしてのサウンドに磨きがかかっています。実はTKWOと仕事をするのは2010年の『トレジャー・ボックスVol.1 《舞楽》』以来9年ぶり(!)ということもあり、新世代メンバーでの仕事は初めてに等しかったのですが、いやー直近で聴くと鳥肌が立ちます。
 
アートワークは今までのNSBの傾向とは違う、ちょっと不思議な仕上がり(今話題のブラックホールならぬホワイトホール!)になりましたが、長年このアルバムのレコーディング・エンジニアとして影に日向に支えてきた小貝さんの拘りを反映したエネルギーに満ちたビジュアルになっています。
 
4月24日発売。ぜひご堪能ください。
  

ニュー・サウンズ・イン・ブラス 2019

ニュー・サウンズ・イン・ブラス 2019

  • アーティスト: 東京佼成ウインドオーケストラ
  • 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック
  • 発売日: 2019/04/24
  • メディア: CD
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