早雲、復権。

 

今川義元や田沼意次など、子供の頃に歴史の授業で習ったときに悪者扱いされていた人たちっているじゃないですか。そういう人々が最近の研究の成果でどんどん再評価されているのが実にエキサイティングです。
子供ながら「その扱いはないんじゃないの?」って思ってましたもの。

北条早雲もそんな感じで「どこの馬の骨か判らん素浪人が初老を迎えて思うところあって突然戦国大名として名乗りを上げ、破竹の勢いで関東を手中に収めて、勝手に北条を名乗った」みたいに教わったのですが、そんな訳ないダロ、と思ってたボクが小学生の頃には、歴史学者の間ではすでに新説(幕府の政所を務めた伊勢家の家系ではないか)が出ていたらしく、2000年代に入って資料などがイロイロ出てきて、伊勢新九郎盛時であるということでほぼ固まったらしいのです。

で、それをゆうきまさみ先生が漫画に描いた。もうそれだけで素晴らしい。安彦良和先生とゆうき先生は、こういう社会的な群像劇を描かせたら天下一品です。

新九郎、奔る! (2) (ビッグコミックススペシャル)

新九郎、奔る! (2) (ビッグコミックススペシャル)

 
新九郎、奔る!(1) (ビッグコミックス)

新九郎、奔る!(1) (ビッグコミックス)

 

 内容は、結構難しいですが、超愉しい。台詞回しは現代的で、ノリも一連のゆうき作品との違和感もなく。もう応仁の乱の頃の事情や人物相関図自体が相当難解なので、最初は新九郎を軸にざざっと流し読みし、後の数回をかけて深く関係性を読み込んでいくことをお勧めします。なんならwiki先生でも良いから最近の研究の成果を併読しておくとさらに深いです。