仕事・論

芸術に貴賎はない。もちろんスポーツにも貴賎はない。しかしこれが、しかるべき対価を得て相手(クライアントや消費者)の期待に応えなければならない『仕事』となると、貴賎云々とは全く別問題に「高い技能」が要求される。これをさらに《生業》とするなら、個人であれば生活のために、法人であれば事業を永続させるために「高い技能」を長年に渡り保ち続ける必要が出てくる。その信用が担保である。
そういった生業を続けていると、相手に対して期待に応えるクオリティの成果物を約束できない事態というのは、何事であれ、大変悩ましいのである。事前に対価を支払って頂いている場合はなおさらである。
もちろん貴賎の問題ではない。しかしどんなに気持ちだけ先行して理想を語っても、実際にそのクオリティを相手に提供できないのであれば、事業主の信用問題になってしまう。まだ事が成される前なのであれば、なるだけ早く契約を破棄して対価を返納させていただく。まともな事業主であれば、そう考える。それが履行出来ないのに対価を返納しないのは詐欺と言われても致し方ないからである。

『仕事』とはそういうものである。