もうひとつの『地球へ・・・』

コンピュータ関連書籍を扱う出版社の局長さんとWebアプリケーションの話をしていてGoogle Earthの話題になった。
 
局長:本当にGoogle Earthはよく出来てるとは思うよ。
ボク:地球を丸々手に入れたって気分ですよね。
   北朝鮮なんか平壌までちゃんと見えます。
   自分がスパイ衛星になった気分。
局長:でも地方は画像細かくないでしょ。
   あれ、やっぱり関係筋の圧力かかってるみたいだよ。
ボク:やっぱりー。
   荒れ果てた農村なんか、見せられませんよねー。
   ただでさえ秘密主義ですから。
   リアルな地球じゃないところはそこですね。
   情報が操作されてる。
局長:見えないと言えば・・・
   これは操作してる訳じゃないんだろうけどさぁ、
   僕、登山が趣味なんだけど
   ヨーロッパの山とかエベレストって
   近くまで寄っても細かくよく出来てるのに、
   日本の南アルプスなんか
   レンダリングさえちょっといい加減なんだよ。
   マッピングも適当で、ただでさえ荒い画像が地形とずれてたり。
   あれだとルート設定したいときに、位置関係とか
   把握しづらいんだよね。
   欧米の人の興味の対象外の場所はどうでもいいんだねー。
   やっぱり「向こうのもの」って感じはあるよ。
ボク:なるほどね〜。
   Google Earthってまだまだ
   「日本人にとっての地球」ではないんですね〜。
 
地図って一見ニュートラルな情報に見えるんだけれど、制作者による意識的・無意識な情報操作がどうしてもなされてしまう。Google Earthはリアルな航空写真や3D画像と地図が連動しているだけに迫真の説得力がある。だから怖い面がある。ネット上に出現したもうひとつの地球は早くも「見せたくないもの」「見えなくてもいいと思っているもの」を解像度の粗い混沌の中に置いてしまっている。
しかし一方で一般ユーザーからの草の根的な情報もどんどん記載されてきている。
この電子地球儀が「本物の地球の鏡」となるか「旅行代理店の特大ディスプレイ」となるかは、まだまだしばらく見定めた方がいいようだ。