写真の説明

皆さんは出世魚ってご存知ですよね。ブリ*1、スズキ、ボラなど、育つにつれ呼称が変わる魚のことです。全く人間の勝手な都合なのですが、大きさや味などが違うのでこういう呼び方のが理にかなっているのでしょう。
楽器にも同じことが言えます。イギリスの北海で育つサクソルンは産まれて1年経つと「コルネット」と呼ばれます。その後、育つにつれフリューゲルホン→テナーホン(アルトホン)→バリトン→ユーフォニアム→バスと名前を変えます。問題は収穫時期です。これは魚でも旬を逃してしまうと味が落ちてしまう様に、サクソルンの場合も時期を間違うと音程が狂ってしまうのです。特に顕著なのがテナーホンです。今名前を挙げた中ではテナーホンのみがE♭の調声であとの楽器は全てB♭です*2。つまりフリューゲルホンからテナーホンに、テナーホンからバリトンに変化する時期に収穫のタイミングを間違えるとG♭やD♭など、別の調声になってしまうのです。特に半音違うEなどになってしまうと合奏がやりにくくって最悪です。そこで漁師たちは絶えずソナーでE♭の音を海中に飛ばして共鳴するかどうかでテナーホンの群れを探すそうです。
水揚げされたサクソルンはベッソンやウィルソンなどの加工業者で丹念に磨かれて市場に並びます。ヨーロピアン・ブラスバンド選手権が行なわれる4月頃が形も良く、味(音)も豊穣で旬です。(かなり嘘)

*1:例えば、ツバス → ハマチ → メジロ → ブリ

*2:厳密には一概にそうとは言えないのですが。