楽譜を詠む

楽譜に書かれている音の情報を「音楽」にする作業をボクたち演奏者は行います。楽譜を書いた作家と演奏者の間にある隙間をどう満たしていくか、これが演奏者の醍醐味です。
座付きの作編曲家がバンドにいる場合は、直接対話をしながら音楽を作っていけます。ニュアンスが分かりづらい場合は作家にヒントをもらい、逆に演奏者のヒントで譜面を書き換えることもあります。
そうではなく、購入楽譜など、作家と直接対話が出来ない曲を演奏する場合は特に注意が必要です。楽譜から音楽をいかに抽出してメンバーとアンサンブルしていくかは、演奏者個人の音楽的な経験値のウェイトがさらに高くなります。普段からどれだけ他人の演奏を聴いているか、研究しているか、練習しているか、本番を踏んでいるか・・・。これが少ないと所謂「とりあえず楽譜を通しました」的な聴き手に何のアピールもない詰まらない音の羅列になります。これではいくらミストーンが少なくても「音楽」にはなりません。楽譜と演奏者がシンクロしていないのです。
表現者として、どう楽譜に向かい、聴いてもらう人に何を伝えたいのか。
楽譜を詠む。ボクたちSFCが練習でいつも心掛けることです。