お恥ずかしいのですが

非常に遅ればせながら、スペクトラムの5枚目のアルバム《ブラスバンド・クラブ》を聴いています。解散前のアルバムということで、当時のメンバーの軋轢もあってかファンの間でも賛否両論とのことですが、それはあくまでファンの間での評価ですし、出来の悪いスネークマン・ショーとも言われているようですが、それもこのアルバムの一辺のみを見て評価しているに過ぎません。これはトンでもないアルバムです。
高い音楽性と先見性を持ち合わせているからこその強烈なアイロニーが、パロディのエッセンスに包まれて爽快に聴こえますが、当時のリスナーたちには、これらが二重の意味で皮肉だなんて、きっと気付かなかっただろうなぁってところも多く、全く驚かされます。
何が皮肉って、例えばトラック9の《恋の給食タイム》。フィル・スペクターのサウンドを敬愛していた他人(今では大御所ダヨ)が作ったソレ風アイドル楽曲のパロディを、誇張して『重く下手クソに』演奏してみせている。一見あれは80年に飛び出したスーパーアイドルの未熟さを茶化しているだけに聴こえるんだけど、実は演奏技術や音楽性が追い付いていない当時のスタジオミュージシャンたちを小馬鹿にしているという、スゴい構造になっているように聴こえます。
「ブラバン」に関しても愛のある皮肉を存分に込めていますが、みんな分かるのかなぁ。特に皮肉の部分。兎に角、この後の30年を見透かしていたかのような目線にクラクラします。何だか解らん人は、兎に角聴いてみて下さい。
そして、米米もスカパラもクレケンも、謂わばスペクトラムの子供達なんだなぁと実感します。
山田邦子のスゴさを思い出すことも出来ます。

5 ? スペクトラム・ブラスバンド・クラブ

5 ? スペクトラム・ブラスバンド・クラブ