森見風に。

新歓ダッシュという言葉をご存知だろうか。
もはや古語であるため、由来が新歓DASHなのか新歓奪取なのか判然としないが、私の所属するサークルではそう呼ばれていた。要は大学入学以来女性とお付き合いする機会を逃し続けてきた男子学生諸君が、四月に入学・入部してきた新入生女子に狙いを定めて勇猛果敢に突撃する凄まじい戦闘モードの事を指す。
その手口は学年が上がる毎に焦燥感を極めるが巧妙さも増す。時にゼミのリーダーもしくはサークルの要職や新歓担当の青き衣を纏いて金色のキャンパスに降り立ち「頼れる超優しい先輩」として標的に近付き、時に下級生男子を懐柔しつつ欺き、時に同級生女子から白い眼で見られようと形振り構わず、己の余命少ない大学生活を薔薇色に染め上げるべく春うららかなる風に乗って野趣有り余る恋の狩人となるのである。
何故そのような事を書いたかと言えば、今がまさにその季節、大学生活の中である意味もっとも前向きで心やきもきさせながらも希望に満ちた日々であろうことと、電車の中でしかゆっくり読書する機会のない私が遂に、この日記で皆に勧められた森見登美彦氏の「夜は短し歩けよ乙女」を読了したからである。世間から2テンポ以上遅れての到着、いささか恥ずべきかもしれないが、読まぬよりはマシだと開き直る。

夜は短し歩けよ乙女 (角川文庫)

夜は短し歩けよ乙女 (角川文庫)

最後に自身の家人は三年次の新歓ダッシュにてゲットしたことを明記しておく。