音楽三昧一日目


山下洋輔プロデュース「アン・アキコ・マイヤース 初夢ヴァイオリン」を聴きに東京オペラシティへ。
アンさんが日本デビューした頃から「隣の山下のおじちゃん(実際山下さんとアンさんのお母さんは家が隣同士だったとのこと!)」として彼女を見守ってきたことがよく分かる愛情溢れるステージでした。
山下さんが「世界的なヴァイオリンのディーヴァ」と評するようにアンさんのヴァイオリンは声楽家の様に歌います。それは彼女が何よりも一音一音に常に歌詞=メッセージを織り込んでいること、聴く人の息遣いをも大切にしているから、だと思います。
彼女が最初にソロで弾いた「荒城の月」、アンコールで弾いた「smile」は特に彼女が母の祖国である日本の、昨年の311以降の日本の実情に対して如何に心を痛めており、再び平和な日常が戻ってくることへの願いが込められているようで、切なくも優しい音楽に溢れていました。
ところで彼女、ステージに現れたときにステージ衣装が遠目のボクたちにもふっくらしているものだから「?」と思っていたら、なんとこの3月に出産予定とのこと。この日のコンサートのメインプログラムは世間でも《胎教に良い》と言われるモーツァルト。生まれる前から東京オペラシティの舞台に立ち、最高のヴァイオリニストのお腹の中でモーツァルトを聴くのだから、なんともまぁ羨ましい特等席!
山下さんのオペラシティでのコンサートは12回めとのこと。ボクがデザインでお手伝いさせていただいてから7度目になります。未だ一度も直接お会いしたことがないのですが、デザイナーのボクにまで常に新しいインスピレーションを与え続ける山下洋輔という表現者の大きさを感じています。