適材適所

適材適所という言葉があるが、そもそも仕事に対するモチベーションが低い人材にどの場所をあてがってもトラブルが起こる。また周りにモチベーションの高い人材がいる場合、彼らがトラブルを最少に抑えるべく仕事に対してフォローに入るため(その人をフォローしている訳ではない)決定的なトラブルにならない場合でも、その人材はスキルやモチベーションを上げるチャンスを失う。そもそもそういう人材は仕事自体にやる気がないのだから自分がスキルアップのチャンスを奪われていることも気付かないだろうし、周りが何故フォローに入るのかも気付かないし、場合によってはフォローに入っている事実にすら気付かないかもしれない。
責任に対しての考え方が物事に対するモチベーションの高い人と低い人では真逆だ。モチベーションの高い人にとっては責任とは自分の裁量で判断しスキルアップ出来る格好の機会であり、モチベーションの低い人にとっては責任とは自分に面倒な事を押し付けられている最悪の事態である。
だから仕事に対するモチベーションが低い人材に限ってクライアントや上司の指示待ち、部下や外部スタッフに一方通行で丸投げする一方、彼らに対しては高圧的な態度を取る。責任は下へ流して当然と考える。上下関係で物事を判断する。
一方、仕事に対するモチベーションが高い人はクライアントや上司に対して積極的な対話をし、部下や外部スタッフと情報を共有する一方、彼らに対するケアやサポートが厚い。責任は自分が持つのだから周りには気持ちよく働いてもらう様に努める。水平軸で物事を判断する。
組織の中にあって、この両者の差は目に見えて広がっていく。しかしモチベーションの低い人は差が広がっていることにすら気付かない。いや、気付くかもしれない。自分は昇進しないからだ。けれどそれを自分の責任だとは思わない。自分には責任はないし、運が悪いだけだと思っている。
こういう場面に出くわすと大変悲しい気分になる。このままだと彼らが永遠にチャンスを得られないからである。
いつまでも適材適所がないまま、不運だ不運だと不平を言いながら彷徨い続けるのだ。