ガタンゴトン・ガタンゴトン。


4月11〜13日の高松取材の旅が終わりました。
大阪を越えた飛行機が徐々に降下を始め、眼下に瀬戸内の島々がぽこぽこと見え始めたとき、同じ様にぽこぽことした讃岐の山々と田畑とため池と家々とクルマがオモチャの様にノンビリ行き交う風景が現れたとき、自分がかつて住んだこの海辺の街はなんて可愛らしく美しいのだろうと、ノスタルジーとは別の愛おしさを初めて感じました。
その美しさに魅了され東京から舞い戻ってゲストハウスを始めた友人の所をねぐらにしながら、ゲストハウスに訪れる一風変わった宿泊客の皆さんと夜な夜な語り合ったり、出版社を立ち上げて雑誌「せとうち暮らし」を発行する後輩の編集部で彼女といろんな話をしたり、香川県を代表する老舗の洋菓子店グループを率いる友人のインタビュー取材をしたり、東京へ満を持して進出する讃岐うどんチェーンでお話を伺ったり、母校を訪ねて先生方からお話を伺ったり、高松の日常を写真に撮り下ろしたり、気の置けない旧友たちと食事を共にしたり、高徳線のディーゼルやコトデンに揺られたり・・・それはそれは、これがたったの3日の出来事なのかと思う程のボリュームを、しかもノンビリと過ごしました。
帰りの飛行機で、夜の月明かりに照らされた雲が切れ、眼下に大東京の夜景が一面に広がっているのを見たとき、迎えに来てもらった相方のクルマに乗って摩天楼を網の目の様に走り抜ける首都高速に振り回されたとき、また改めてこの東京という街の圧倒的なボリュームとスピード感と情報量に頭がクラクラしました。こういう想いで東京を見つめ直したのも初めての事です。
それもこれも、全て今、ボクが生きる世界なのだ。
そこに未来を見つめて頑張る、古くからの、この旅で初めて出会った、たくさんの仲間がいる。そういうリアリティ。
この旅でボクの人生の何が変わるわけでもなく、これからも多くの締切りに追い立てられながら日々を過ごしていくだろうけど、自分の立ち位置を再定義する、という意味で、ここ20年の中でも最も精神的に濃い時間を生きました。
この旅を共に過ごした皆さんに、最大級の感謝を込めて。
写真はコトデン。ガタンゴトン・ガタンゴトン。