情報という科目

昔、高校に《情報》って教科が出来た時に検定教科書の装丁を担当したことがあって「おぉ、ITリテラシーを学校で学べる時代とは隔世の感があるのう」と感心してたんだけど、時を経てちょっと現実に落胆してます。
つまり、そういうスキルを得た子たちが育っているとは思えないのです。
例えば、メールのやりとり一つにしても、タイトルがない、署名がないので誰から来たのか判らない、など、プライベートメールとフォーマルメールの使い分けが出来ない大学生が多いのです。
大学生のうちにこれらが身に付くのであればまぁ問題ないのですが、そうだとしても、ではなんのために高校の《情報》や中学の《技術家庭科》でIT教育を推進しているのか判りません。
今の子供たちは生まれた時からインターネットの世界や情報端末に溢れてはいますが、友人同士の電子コミュニケーション手段が、PCからの電子メールではなく、スマートフォンを使ってのチャット系SNSの利用が主な訳ですから、実社会で使うフォーマルな方式や、情報の検索・精査・創作・発信というのはキチンと学校で学ぶ必要があります。ところが《情報》という科目が2003年に始まって10年以上経っても目立った成果が認められません。
これらの立ち後れは、小中高の教員の方々自身のITリテラシーとビジネスマナーの低さにも起因しているのでは、とボクは考えています。学校の現場が過剰にインターネットの利用を恐れたり、軽視したり、実社会とのビジネスコニュ二ケーションを嫌ったりする傾向がある以上、子供たちにITリテラシーやビジネスマナーを教えられる訳がありません。
教育現場の批判ばかりしていても始まらないと思いますが、まず教師が実社会とのコミュニケーション能力を高めていく必要はありそうです。