求塚

昨日の投稿とは打って変わってファンシー成分ゼロのフライヤを。
喜多流シテ方の長島茂さんよりご自身の能楽会のお仕事を頂くようになってこれで4度目のシーズンになります。
打ち合わせでお話しを伺うにつけ、能楽の世界の、目の前にないものが見えてくる研ぎ澄まされた豊かな想像と創造の世界に圧倒されます。
さて、今年の曲目の中で長島さんが舞われる『求塚』は、川本喜八郎さんが制作された人形アニメーション《火宅》(語り:観世静夫/音楽:武満徹)の元となったお話しです。
夢幻能(だいたい後シテが亡霊として出てくるヤツ。この求塚もそのジャンル)というのは殆どの場合、旅の僧(ワキ)が念仏唱えたり亡霊の話しを聞いてやると成仏して消えるパターンなのですが、この求塚は成仏せずに苦しみながら消えるという身も蓋もない話です。なのですが、これがとてもいい感じで後味が悪く(意味不明)惹かれるものがあります。見方によっては天然のリア充女が自身を悲劇のヒロインに仕立てあげて苦しみ続けているだけにも感じますが、「純粋であるが故に罪」というテーマが観阿弥の時代から続いているというのは日本っておもろいなーと思うわけです。
また、野村萬斎さんの狂言や友枝昭世さんの仕舞が観られるのもこの会の魅力ですので、是非是非ご来場くださいませ。
 


第19回長島茂の会
公演|2016年10月22日[土]開演15:00
会場|十四世喜多六平太記念能楽堂
曲目|仕舞『松虫』友枝昭世
   狂言『茶壺』野村萬斎
   能 『求塚』長島茂