1954


夕飯をくらいながら初代ゴジラを観る。
その後の子供向けほのぼの怪獣ゴジラシリーズが少年時代の原体験にある僕にとって、初代はそれらの元祖なモンスターパニックなムービーだろうとなんとなく思っていたが、初めて通して観て、そのシリアスさと状況のリアルさに驚く。
東京大空襲、広島長崎の原爆投下と終戦から10年も経たない時間軸の中で、やっと復興しはじめた東京が、再び、破壊と放射能被害の惨劇に放り込まれてしまう。人々の台詞の中にも長崎の原爆の話や戦争で亡くなった親類・傷痕の話が頻繁に出てくるし、そのトラウマが目前で蘇る悪夢に苛まれる。そしてすれ違う登場人物それぞれの思惑。
東日本大震災と原発事故後にシン・ゴジラで再び丁寧に描かれた世界そのものである。被災した子供にガイガーカウンターを当てて検診しているシーンなどは、これがフィクションであることも忘れて慄いた。
またシン・ゴジラを観てしまうではないか。