パイパーズ休刊

2010年秋より13年にわたり誌面デザインに関わらせていただいたパイパーズが休刊することになりました。日本の管楽器奏者の世界では『ここに取り上げられれば一流』と確信が持てたクオリティペーパーであっただけに非常に残念ではありますが、昨今の出版事情とコロナ禍の中このようなコアなジャンルの商業誌が(だからこそなのかもしれませんが)40年以上もよく頑張ったなとも思います。私が最初にお世話になった吹奏楽の雑誌「バンドピープル」は21世紀を迎えることが叶わなかったので。
パイパーズ、なんせ僕が子供の頃からあった雑誌ですからね。まさかこんなに長い時間を共にしクローズまで関われるなんて思ってもなかったのです。レジェンド登場に感激し、知り合った頃に音大生だった子が登場するたびに心躍りました。自分が手がけたアーティストの公演記事の時は、公演デザイン俺・アーティスト提供写真俺・CDジャケットデザイン俺・そしてその記事デザインの俺、なんてこともあり、妙な恥ずかしさを感じたこともありますが、それも良い思い出になるのでしょう。
さて、これから国内外の濃密な演奏家の活動や楽器の情報を手軽に手にいれる手段が減ってしまうことになります。個々の楽器毎の雑誌は他社でも発刊されているものもまだあるのでフルート・クラリネット・サックス・トランペットなどは良いのですが、その他の楽器やそれらを横断するような情報は極端に減ってしまうことになります。
雑誌というのは情報をキュレーションして読者にお送りするという、玉石混交・罵詈雑言なネットメディアとは違う意味合いがあります。手に取る読者にとって厳選された信頼のおける情報というのは、ヘンテコなゴシップや下馬評に惑わされなくて済むというメリットもあるのです(商業誌の場合、基本ステマっぽい記事も割とあることは否めませんが)。
とまれ、最近の若い子達はネット黎明期を支えたと自負するおじさまおばさまよりネットの海の泳ぎ方は上手なのであまり心配もしていないんですし、ネット上で上手に発信できる(手段を何らか持っている)アーティストが成功していくことは間違いありません。
そして、ですが、私はもちろん最終号まで共に突っ走るつもりであり、その後も色々なところで皆さんのお目にかかる仕事をしていくつもりですが、まぁ毎月のうちにパイパーズのために空けていた数日が4月以降ポカっと空くわけです。そのポカっと空いたところにお仕事を共にしていただける(定期的にだと大歓迎)皆様も絶賛募集中です(もちろんこちらからも積極的に営業はしていきますが)。
何もお仕事内容はデザインに拘っているわけでもないので、何でもご相談ください。
ではでは皆さん、素敵な音楽ライフを。

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