岩井先生

久しぶりに東京佼成ウインドオーケストラの録音に立ち会ってきました。岩井直溥先生の作品集です。今回デザイン周りを担当させていただくことになりました。がんばります。ホールとは別室につくられた特設の録音調整室に座ると「あのサウンド」が流れてきます。全てオリジナルの作品集なのでボクが知らない曲もありますが、そんなことは微塵の心配もいりません。曲は知らずとも、吹奏楽を愛する人なら誰でも知っている「岩井先生の音楽」がそこにあります。スコアを見せていただきながら(そんなデザイナーあんまりおりませんが)、録音現場を堪能させていただいたり、あれこれ構想を練ったりしました。
録音終了後の打ち上げの席で先生から教えていただいたのですが、EMIで続いている人気シリーズ「ニュー・サウンズ・イン・ブラス」というのは、元々1930〜40年代の豊かなビッグバンド・サウンドを吹奏楽の世界に再現して残して行きたい、世の中で埋もれているポップスの名品たちに新たな光をあてたい、そういう思いで始められたのだそうです。確かに30〜40年代のアメリカ音楽を中心とした世界はとても豊かな世界で、戦前の日本もその恩恵に預かり素晴らしい作品や録音が残っています。昨年も斎藤ネコ&椎名林檎さんのコンビや*1、細野晴臣さんなどが、そういったサウンドを温故知新する形で発表していますが、岩井先生はそのずっと前からそういうことを考え、実践されてきたわけです*2。なにしろ岩井先生は戦前・戦後の日本ポップス界の歴史そのもののような方です。実際そのサウンドを目の当たりにして、自らも演奏されてきた方の重みはさすがです。
そういった歴史を感じさせるアルバムの制作に関われる事を大変嬉しく思います。
ところで、ジャケット制作用に先生のお写真が欲しくて願い出たところ、
「写真? あるけどいつも酒飲んでるトコロばっかりなんだよなぁ。それにいつも横にはオンナノコ写ってるし、ハハハッ!」
そういう84歳にボクもなりたい。

*1:これにも村田さんが参加してますね

*2:「アフリカン・シンフォニー」はその成果の一つだ、とおっしゃっていました