薬害

父親から突然電話がかかって来た。
父「仕事中か?」
O「まぁ、ええよ。大丈夫」
父「カンエン・・」
O「?」
父「フェブなんとかってのがあっての・・・」
O「はぁ」
父「お前昔手術したじゃろ」
O「中学とき靭帯切ったやつ?」
父「そう。ノリがの、カンエンになるかもしれんのじゃて」
O「うーん」
父「そういう年頃なんじゃて」
O「今? ようわからんよ」
父「でもなる確率低いんじゃて」
O「何に?」
父「でも念のため、検査した方がええぞ」
O「???」
つまりこういう事らしい。父親と母親がテレビでニュースを見ていたらフェブリン糊という止血用の生体接着剤を使って手術をした人が稀にC型肝炎に感染するケースがあるという報道があったらしい。で、その危険性が判る前に医療現場で多用されてた時期があり、それが丁度ボクが手術をした頃なのだそうだ。
テレビを観てて心配になったのだろう。親はいつまでも親だ。自分なんか脳梗塞で一時期半身不随だった時期には何も知らせてくれなかったのに、子の健康の事になると無性に不安らしい。
O「わかったわかった。調べとくよ」
電話を切ってPCで検索をかける。なるほど、そういう報道もある。しかも提訴してるケースもあるぞ。読み進めていくと厚生労働省のサイトに最近、フェブリノゲンやフェブリン糊を業者がどの病院に卸していたかの再調査の名簿が上げられたとのこと。早速厚労省のサイトへ飛んで名簿のPDFファイルを開く。えっ・・とー。ない。ボクの手術した病院では使われていない。
安心させようと今度はこちらから電話。
父「そうか、ないか。お母さんにも教えたり。代わるけん」
母「もしもし、お母さんじゃけど」
O「えぇと、名簿見たんやけ
母「名簿ってなんね! 検査しんさい!」
O「・・・。だから厚生労働省にフェブ
母「注射からも感染するんじゃけんね!」
O「いやいや。サイトにそれを卸されてた病院の
母「その人最初は原因判らんかったんじゃけ!」
O「だから落ち着いて!  話聞きや!
  ボクの手術した病院では使われてないんやって!」
母「何でそんなこと判るんね!」
・・・このケンカもフェブリン糊による薬害の一種と見なしてもらえませんでしょうか?