今日のバッハさん

otoshimono2008-06-14

バッハ・コレギウム・ジャパンを聴きに彩の国さいたま芸術劇場へ。プログラムはブランデンブルグ協奏曲の全曲演奏。指揮・チェンバロはもちろん鈴木雅明さん。
昨今は古楽というジャンルほど現代的でスマートな音楽が聴ける場はない。軽やかで聴き易く、無駄がない。逆説的であるが、19世紀以降の音楽は、楽曲や楽器に求められるもの、背負わせるものが大きすぎるのだ。
その点、古楽は、たとえ主題が崇高であっても演奏自体は「身の丈」だ。例えばヴィオロンチェロ・ダ・スパラという楽器がある。チェロと同じ音域ながらヴァイオリンと同じ様なフォームで演奏する。楽器は重いだろうし、床で共鳴させないから音量も小さい。しかし、座奏を強いられない分、演奏している感じは軽やかだ。かしこまらない感じが心地よい。
今回も相当の長丁場にも関わらず、第六番が始まる前に一緒に聴きに来ていたpoohが「あ〜、もう終わっちゃうんだぁ」と言うほどなのだ。
それにしても出てくる弦楽器の種類の多いこと。ヴァイオリン、ヴィオラ、バロック・チェロは勿論のこと、ヴィオリーノ・ピッコロ、ヴィオロンチェロ・ダ・スパラ、ヴィオラ・ダ・ガンバ、ヴィオローネ・・・。やがてヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバスの4種類に集約されていく前の弦楽器の若々しい時代を体感できたことも収穫だった*1
こういった芸術と学術を高い次元で融合させるところが、鈴木先生とBCJの真骨頂である。
終演後はバッハの国、ドイツに敬意を払って、劇場近所のジャーマンビアーレストラン「bei Mario」で乾杯! 口内炎対策のため、豚料理多めで。

*1:もちろん管楽器もよかったです。特にナチュラル・トランペットで演奏される島田俊雄さんの第二番は驚異的です。あと鈴木先生の第五番のソロはクレバーかつドラマティックで、まるでチック・コリアのセッションの様! バッハってつくづくジャズだと思う。