スタートライン

shiroが四国から久しぶりに上京してきたので、事務所をちょいと抜けて昼食を共にする。
出会ってから25年という月日が経った。ボクが今東京で、様々なアーティストたちと音楽という芸術をパッケージ(デザイン)する仕事をする最初のキッカケを作ったのは彼だ。トランペットがベラボーに上手い彼はボクにとってのヒーローで、彼のためにボクはいろんな絵や漫画を描いた。彼が次々と仕入れてくる新しい音楽世界への扉をボクは貪るように追いかけ、イメージに浮かぶときは絵にしていった。
大学進学で一緒に上京し、音大でトランペットを学んだ彼は地元に戻って音楽教師の道へ進み、一般の大学に学んだボクは何故か吹奏楽部の恩師の紹介で雑誌にイラストを描き始め、やがてデザイナーの道へ進んだ。
彼と瀬戸内を見下ろす高台で、夕焼けが星空に変わっても語り尽くした日々と夢は数知れないし、その中に音楽教師やデザイナーなんて夢はあったかどうかは、今となっては覚えてもいない。けれど、あの場所に心の中ではいつでも立ち返られるし、そのスタートラインがあるからこそ、ボクらはこれからも歩いてゆけると思う。そういう親友が持てたことにとても感謝している。