カルミナ・エンペラーナ

先週の土曜日の昼は金管まつり仲間のエンペラーブラスの第5回定期演奏会に行ってきたのだが、メイン・プログラムのカルミナ・ブラーナが大変面白く聴けたので備忘録として記しておく。
《ブラスアンサンブルと朗読のための「カルミナ・ブラーナ」》と銘打ってもよい本プログラムは、舞台上だけでなく、客席やバルコニーからのソロ演奏や朗読が曲の要所で展開され、さながら芝居を観ているかのような効果を上げていた。オルフの簡潔で奇怪で壮大な音楽をブラスアンサンブルで聴かせ、原詩*1の要約によるナレーションが、人間の愚かさと素晴らしさを言葉で支え、舞台をふくよかなものにしている。
作曲者のカール・オルフの意図に沿っているかどうかは別として、アマチュアの、しかもブラスアンサンブルの公演としては異色ではあるが、表現として実に興味深く、可能であれば、さらに完成度を高めた再演版を観てみたいと思える内容だった。
アマチュアの演奏会というのは兎角『既にある価値観のコピー』の域を脱しないケースが多く、実際、アマチュア吹奏楽やアンサンブルの公演はかなり親しい知人でも出演していない限り99%退屈窮まりない。
そういった中でエンペラーブラスの公演はアマチュア的な演奏上の傷などは関係なく「自分たちの音楽表現を他者に伝えたい」という意思を感じることが出来た。
アマチュアであっても表現者であるならば、絶えずそういう取り組みをしていきたいものである。
エンペラーブラスの今後の活動に注目したいところである。

*1:オルフは「ボイレンの歌」というドイツ古詩歌集を題材に合唱とソロとオーケストラのために世俗セカンタータ「カルミナ・ブラーナ」を作曲した