本のご紹介2冊

ここ数ヶ月にかけて装丁のお仕事させていただいた本のうち、ある意味タイムリーな内容のモノを2冊ご紹介させていただきます。

著者の君島和彦さんは日本近代史の研究家として東京学芸大学教授を務められた方で、日韓の歴史教育の比較研究をされております。
今、まさに日本史上の大事件の最中にあり、太平洋戦争や関東大震災で起った風評や差別から起った悲劇を繰り返さないためにも、教育の現場からしっかり取り組まなければならないこと山のようにあります。
歴史教育とは、社会科とは、国民とは、公共性とは・・・。そういったキーワードをキッチリと捉えて教育者は未来への人材を育てて行かなければなりません。
本文には太平洋戦争(朝鮮問題や沖縄戦の話)や水俣病訴訟の話も出てきます。君島さんのこれまでのお仕事や発言は、受け手の立場によっては疎ましく思われる方もおられるかもしれませんが、これから起こりうる様々な事件・世論・個人の認識や感情などから生まれる負の意識に、どのように対処し教育という現場で実践していけばよいか、というヒントになりうると思います。
専門書ですので難解な表現や用語が羅列され、けっして簡単な書物ではありませんが、教育に携わる方(特に社会科や歴史を専攻されている過方)はご一読下さい。
 
気象予報士 かんたん合格 10の法則

気象予報士 かんたん合格 10の法則

高卒→ストリート・ミュージシャン→気象予報士試験合格〜いう型破りな気象予報士、中島俊夫さんによる入門書です。入門書といっても気象学ですから数式なんかがいっぱい出てきます。数式なんかがいっぱい出てきますが、図版も豊富で、著者本人によるイラスト(なかなかカワイイ)や歌(?)もあり、なかなか楽しめる内容になっています。
今こそ、個々人がキッチリとした科学知識を身につけ、自分たちの生活を守らねばなりません。さらに教育に携わる人は、こういった知識と見識を持って子供たちと向き合わなければなりません。普段から気分に流されてパニックになってしまう様では、風評に流され易く、自立性のない判断から知らず知らずのうちに他人に迷惑をかけてしまうことにもなりかねません。
気象予報士は残念ながら地震に対する予報は出来ない(というか、かなり正確な予報が出来るまでメカニズムが解明されていない)ですが、大気の状態から生み出されるおよその自然現象の予想は出来ます。
少なくともキチンとした科学知識を身につけていれば、何処からともなく飛来した黄色い粉末の吹きだまりを放射能だといって大騒ぎすることはなくなると思いますよ。だいたい一般のニュースでも今年は例年の10倍の花粉が飛ぶ予想が報道されていたじゃないですかねぇ。