君たちに届け


新学期用教科書50万冊被災 各社追加印刷急ピッチ:asahi.com》
4月から新学期です。今回は6年ぶりの教育指導要領の改訂で、小学生は皆、新しいカリキュラムの教科書で勉強を始めます。そんな時に今回の震災です。単純に小中高校と特別支援学校の教科書50万4000冊が被災したのであれば、色んな方々のご好意で臨時に「お古」を集めることも出来たのでしょうが、今回は小学校課程が新しい指導要領に改訂されるため、そうもいかないのです。新しい指導要領に則った教科書が必要なのです。何しろ日本全国の小学生の教科書が新品と入れ替わるのですから「お古」はないのです。
ボクが小学生の音楽の教科書のデザインを担当させていただいた教育芸術社さんは7万冊被災されたそうです。本当にいたたまれない気持ちです。

 音楽教科書大手の教育芸術社も計約7万冊が被災した。同様に用紙とインキは取り寄せや在庫で確保できる見通しが立ち、4月中旬には追加分を発送予定だ。(記事引用)

なんとかそれでも、被災した子供達の所に教科書が届きそうなので一安心です。奔走していただいた出版社の方々を始め、材料・印刷・流通関係業者の皆さんには感謝のしようがありません。
ところで、今回のこの教科書の増刷の負担は何処が受け持つのか、まだお伺いしていないのですが、それも心配です。義務教育課程の文科省の検定済教科書は、国が買い上げ、無償で配布されます。その買い上げ額はとても安いのです*1。出版社はその少ない買い上げ額ギリギリで、もしくは赤字覚悟で、少しでも子供たちに良い教科書を送り出そうと懸命に制作しています。話がついたので増刷を初めているのだとは思いますが、今回の負担を出版社が負うのであれば、これは大変な痛手です。体力のある会社ならまだしも、小さい出版社はひとたまりもないでしょう。こういった補償についても国は考えていかなければなりません。半世紀以上こうした危機に直面したことがないのですから、国家機関の方々も大変だとは思いますが、日本の教育を弱体化させることだけはあってはならないと思います。

*1:参考:教科書1点当たりの平均定価(平成19年度用)小学校用=337円。詳細はこちら