ふぬけ

プロフェッショナルとして公演イベントや大規模な制作物に関わる場合というのは、ボクの経験値を上回るものでなければ体力やペースの配分が大抵出来る。次の日に疲労困憊で動けない、なんてことはない。いい加減、それくらいのキャリアはある。
ところがアマチュアとしてイベントや制作物に関わる場合は別だ。例えば自分達で企画運営する演奏会制作はハッキリ言って仕事よりキャリアが長いはずなのに、未だに公演日の次の日は疲れきってマトモに身体が動かない。仕事机に向かうのだがスグ眠くなる。精神的に持って行かれてしまっていて、頭の出力も普段の1/10以下になる。
プロフェッショナルの世界は、量もさることながら品質(これは「感動する」など精神的な部分も含まれる)もコンシューマに対して100点以上の満足を与えることが我々制作側の使命としてある。最低点が100点。これには高度な技能・創造力・納期・管理能力が求められる。つまり自分の仕事によって制作物は経済的に利益が出なければならない。そしてこれを持続して行えなければメシが食えない。
ところがアマチュア(趣味)の世界はそうではない。自分の趣味の成果を披露して自分以外の人と楽しみを共有しあうことが目的なので、量や品質や経済的な成功が使命ではない。そこが0点であっても、楽しみを共有できれば趣味としては成功なのだ。
ボクの場合は演奏会制作が趣味だ。だから演奏会を興行して演奏者やスタッフや足を運んでいただいているお客さんを楽しませることに全身全霊を込める。損得勘定とか全くなく。後先など考えない。そしてこの作業は大変な体力を奪う。
もう一つの趣味は仕事でもあるデザインやイラストレーションだ。仕事の場合でも手を抜くことは全くないのだが、クライアントの要望に応えるために常に手綱さばきも怠らない。ところが趣味たるや、自らの手綱を離してしまう。自分が暴走しようが平気だ。コストなどクソクラエになる。そしてこの作業は大変な体力を奪う。
ボクの場合厄介なのは、これが演奏会制作の趣味とリンクしてしまうことが多いことだ。この相乗効果たるや体力を一挙に奪う。今日も明日締め切りの装丁の仕事たった1本をムニャムニャ唸りながら仕上げたところで集中力が崩壊してしまった。マッタクふぬけだ。
そんな体力を奪う趣味なんぞ止めりゃいいだろうに、とお思いかもしれない。ところがそうはイカナイ。趣味というのは一時的に体力を奪うが無限の生命力と創造力を生むから。ある意味これもボクの品質管理なのだ。