作家性ゼロの個展

お仕事としてコンサートやリサイタルのデザインを請負う場合は100%自分自身が出演者ってことは有り得ないのですが、アマチュア屁垂れトロンボニストの自分が出演するコンサートの場合は、そりゃもう大変です。運営などは他のメンバーと役割分担しているのですが、フライヤやパンフレット制作の部分は餅は餅屋の大餅屋な自分が担当することになります。
ところがです。デザインだけでなく、企画、コピーライティングから、記事作成、写真撮影、イラスト作成、編集、印刷所とのやり取り、全部やります。一人プロダクションです。挙げ句には自分にボツまで出します。スケジュールと予算(これは演奏会を仲間と開くので最低限にかかる経費のこと)以外、規制はないです。出演もする自分がクライアントですからギャラの概念は吹き飛んでます(そもそも出演者の負担を低くしたいので予算に入れない)。拘る所は拘りまくりますので、ある意味仕事以上にプレッシャーが高い。
でも、これがボクの仕事の原点なんですね。大学生、いや、もっと前からずっと。小学生の頃からかもしれない。お金貰ってやる段階ではない無謀な実験もします。けれど自己満足ではなく、最終的に出演者やお客さんをどれだけ驚かせ、喜ばせられるか、という実験です。
人様からギャランティをいただいて博打は出来ないです。だから仕事の場合、お代を頂くからには確実に120〜200%の効果は目指しますが、最初から3000%の効果は目指しません。マイナスになる危険性もあるからです。そんな危険をクライアントにはさせられません。
けれどリスクを自分で負えば済む場合は違う。その度に自分のスタイルとは違う見せ方に挑みます。それで完全に自分のモノになったら商用運用します。ならなければ改良したり、破棄します。そうやって作り上げたノウハウって、かなりアリます。
ボクはデザイナーになってから、個展というものを全くやったことがないのですが、云わばこれがそれに近いものなのかもしれない。
但し〈スタイルを固定しない練習〉ですので、作家性という意味では限りなくゼロですけどね。