心配パパ

訳あって過去の写真を物色している話は最近も書いたが、法事で撮った親戚一同の写真と共に父の手紙が出てきた。

「前略、遅くなりましたが写真が出来ました*1ので送ります。入社時の準備は出来ていますか。毎日厳しい寒さが続いています。風邪を引かないよう健康に注意して下さい。父より」
多分1995年の正月過ぎに送ってもらったのだと思う。ボクも父もこの数ヶ月後に入社する筈の製版会社が倒産しようとは思ってもいなかった。
大学4年生の時はイラストレーターの仕事に就きたいと思って就職活動していたものの上手くいかず(業界の下調べもせず、作品をチョロっと描いて大手ばかりに応募していたのだから今考えると無謀も良いところで、それでも一社、某大手ゲームメーカーの最終まで残っていたのだからキセキである。)、就職浪人した次の年は、あまり親に心配もかけられないと思って似た様な業種(印刷業の営業)に妥協して決めた(仕事しながらプロのイラストレーターを目指そうと思っていた)会社だった。そしてそれも不況のアオリを受けて卒業年の3月に倒産。
この時期は両親に随分心配かけたなぁと思うが、このおかげでボクは諦めかけていたデザイナーやイラストレーターの道に一挙に進む事が出来たのだから人生は不思議だ。
あれから18年経って師匠から独立して自分のデザイン事務所を立ち上げた今でも両親は相変わらず心配でならないに違いないが、こういう身勝手な生き方を認めてくれていることに感謝している。

*1:前の年の夏の祖母の五十回忌の法要の写真でした