鎮魂曲


バッハコレギウム・ジャパンのモーツァルト・レクイエムを聴きにさいたま芸術劇場へ。
BCJでモツレクを聴くのは2回目だが、今回はエディションがオルガン奏者としても参加される鈴木優人氏による補筆版。この作品は、つまるところ作曲者本人の絶筆であり、フランツ・クサーヴァー・ジュースマイヤーによって残りが進められたものの、それが決定稿と見なされている訳でもない。事実当時から異論反論オブジェクションだったし、百歩譲ってジュースマイヤーが楽想から書いた後半部分を尊重しながらも、様々な人が「モーツァルトだったら、そうは書かないんじゃね?」と思っているわけだ。で、今まで、沢山の「オレ的にはモーツァルトだったらこうしたと思うぜ」版が世に出され、BCJとしては将来の巨匠として期待される鈴木優人氏に筆を託した訳である。
ボクとしては、初めてこの曲を違和感なく最初から最後まで聴き通せた、という印象である。日本が世界に誇る古楽アンサンブルとしての小気味良さも手伝ってか、とても良かったのだが、今まで幾つもの版のモツレクを演奏してきたであろう奏者側がもう少しこの版に熟れてくれば、さらに音楽に深みが出ると思う。
ただ・・・ただ・・・トロンボーンを吹くボクとしてはトゥーバ・ミルムのバストロの後のソロは、ファゴットに引き継がずにそのままテナートロンボーンのソロにしておいて欲しかった・・・欲しかったなぁ・・・