盆灯籠


今年も盆は帰省出来ず。代わりに弟が両親を連れて墓参りしてくれるとのこと。有難や。
 
広島市内に一族のお墓がある方はよく知っていても、そうでない方にはあまり実感がない話を。
  
盆に広島に帰省すると、スーパーやコンビニで竹とイロトリドリの紙で出来た盆灯籠が売られているのを見かけます。これを各家の墓に供えるんです。安芸門徒の風習なんだそうです。墓参りに出かけると、蝉時雨と青い空の下、風に揺れる無数の盆灯籠は、それはそれは賑やかな光景です。また、初盆は白い灯籠だったりして、これを見ると他家の墓でもシンミリしたり。
  
で、僕の家は父方も母方も墓は広島市内の寺町というところにあるのですが、どこの墓碑を見ても誰かしら「昭和二十年八月六日没」と刻まれているわけです。そして寺の境内には大量の無縁仏があるんですね。だからお盆にお墓に行くと「これだけ多くの方が同じ日やその近辺に亡くなったり、未だ身元が知られていなかったりするんだ」という実感を持たざるを得ないんですね。ちなみに寺町というのは爆心地から1kmも離れていません。
  
で、墓に眠っているのも被爆者であれば、参っている本人も被爆者だったりその子孫だったりするんですね。例えば、僕の母は被爆者であり、僕や弟は被爆者二世です。
そういう夏を広島は実に70回も過ごしてきたんですね。
  
こういう街は70年前の広島と長崎以外、世界中の何処にも増やしたくないですよね。