夕凪の街 桜の国 2018


先日のNHK広島の全国放送ドラマ「夕凪の街 桜の国 2018」ご覧になりましたか?
個人的に印象に残ったのは、劇中に出てきた「原爆スラム」なるバラック街。母や祖母が話していた街並みが映像として再現されていたことです。
当時、母方の祖父母がそのバラック街の対岸で食堂を経営しており、母は祖母に「危ないけぇ行ったらいけん」とよく言われていたそうです。でもこれは被爆者差別というより、不衛生で物騒だと噂される土地柄だったためで(そもそも祖母も母も被爆してますし)、劇中では割と穏やかに描かれていましたが、一方で『仁義なき戦い 広島死闘篇』のような側面も持っていた訳で、それを取り締まっていた当時の警察署長が父方の祖父でした(実際、伯母がデパートへ祖父と買い物に出かけると「後ろ見ちゃいけんで」と言われたとこのと。ヤクザさんたちにつけ狙われていたそうです)。
とはいえ、別にあのバラック街に被爆者とヤクザだけが身を寄せ合って生きていた訳ではなく、被爆してない人、地方から来た人、様々な国から来た人、良い人もいればヤクザ者まで、いろんな人々がいたのです。
一口に「ヒロシマ」「原爆」「被爆者」といっても、1945年8月6日以降にも様々な生活と人生があります。そんなに広島は単純な街ではありません。
その一方で、ドラマ劇中や漫画原作にあるように、被爆者二世である七波や凪生が常に「自分も原爆症で死ぬかもしれん」という恐怖に子供の頃からうっすら苛まれ続けていることも本当です。鼻血出るだけで怖くなることも本当。被爆者二世であることが理由でいじめられることもあります(漫画原作では凪生が付き合っている女性の両親から会うのを止めるように言われる件がある)。なぜなら、実際、私がその被爆者二世ですから。
*ちなみに被爆者二世が原爆が原因よる病変に罹患したと断定できる症例は今の所みられず、追跡調査中とのこと。私も被爆者二世健康手帳が交付される権利を持っているのですが、今の所申請していません。