ミスター・アメリカ

otoshimono2005-12-08


実は今、久しぶりに吹奏楽のCDを聴いています。「Bravo, Maestro! Encore!(KOCD-3580)」。巨匠フレデリック・フェネルと東京佼成ウインドオーケストラによるライヴのアンコール集です。フェネルの一周忌に出された追悼盤です。
もともと記録用のライヴ音源なので、録音の質の限界や演奏上のキズはあるんだけど、純粋に音楽として良い。
フィルモアの楽しいサーカスマーチ、飛び切りスピード感のある「アンパリト・ロカ」(スペインではこういう演奏はしないそうです)、スペクタクルに仕上がってる日本民謡、ハリウッド・ロマンスなドビュッシー。
誤解を恐れず言えば、スーザバンドの復刻盤を聴いているのかと耳を疑いました。そのくらい東京佼成ウインドオーケストラのサウンドが「古きよきアメリカ」なのです。
フェネルは「民衆の芸術」を豊かにするために一生を捧げた人なんだなぁ、と改めて思いました。
「クリーヴランドにサーカスや移動遊園地と共に吹奏楽団がやってきた。公園の特設ステージでは、今まさにあのジョン・フィリップ・スーサがタクトを振り下ろさんとしている。今日は何を演奏してくれるんだろう!」
期待に胸を膨らませるフレデリック坊やの喜びに満ちた笑顔がそのままCDになったかのような一枚。これは買いです。

デザインは実力派のmadokaさん。緻密な仕事、大胆なトリミング、深い経験と知識に裏付けられた感性。脱帽。