リアル・ユーフォニアムの秘密(ただしデザイン)

紅いですよ。中は!

フフフ、売れてるみたいですねぇ、リアル・ユーフォニアム。スゴいからね演奏。何回聴いても背筋がゾクゾクします。レコーディング立ち会わせてもらったとき「これはトンでもないもの作ることになったナァ!」って思いましたもん。「売れなきゃ、オレのデザインのせいだ」って。
でもこういう時ってね、ちゃんと降りてくるんです。ヒントが。
それは鍋島佳緒里さんの「アマランス」の収録のときです。スコアを見せていただきながら聴いていたんですけどね。譜面から浮かび上がってくる表情が、空間を包み込んで行くユーフォニアムとピアノの音が、まるで能の世界なんですね。モノトーンなのに色彩で満たされている、世阿弥の世界観。「風姿花伝」です。
すると次に浮かんで来たのが川本喜八郎の人形アニメーションです。能を題材にした作品「道成寺」「火宅」とか。ストイックなのに耽美的、激しくも静寂・・・。
すると浮かんで来たのは尾形光琳「紅白梅図」。川本喜八郎は屏風絵などを巧みにアニメーションの背景に用いています。多分そこからのイメージなのでしょう。楽器の陰影を紅白梅図の川のように、例えば墨流しみたいな雰囲気で見せられないものだろうか*1・・・。
世阿弥「風姿花伝」>川本「火宅」>尾形「紅白梅図」・・・そんなパッケージってなんだろうぅ・・・
!! あるじゃん。日本が世界に誇る工芸品「漆器」!
黒地に金の絵付けが施された表面。朱塗りの中面。ストイックかつインパクト。
全て日本人作曲家による多彩な作品を、日本が世界に誇るユーフォニアムプレイヤー・外囿祥一郎が同じく日本人であるピアニスト・藤原亜美と共に世界に向けて解き放っていくイメージにぴったりじゃぁないのサ。
そうなったらもう止まんない。頭の中でどんどん形が出来上がってくる。
時間がなくてレコーディング最後まで聴けなかったので、帰りにkoseiレーベルのokanoさんに興奮気味に伝言頼みました。
「ホカゾノさんに伝えといて。今回のイメージは漆器だって」

リアル・ユーフォニアム

リアル・ユーフォニアム

*1:実際の紅白梅図の川の流れの部分の技法は全然墨流しではなくて、紙で作った型を使って製作していく染物の技法だったようです。