オルガンの夕べ

organ

勤め先が麹町なので近所に聖イグナチオ教会があります。毎月第4週の金曜日は無料のオルガンコンサートが催されています。
パイプオルガンの生演奏なんて音楽好きでもなかなか聴く事が出来ませんから、時間があれば足を運ぶようにしています。今日は案内板に「演奏曲:ホルスト/木星のテーマ、エルガー/威風堂々第一番ほか」とあったのでとりわけ興味を持ちました。
コンサートは夕刻のミサが終わってからの開催です。ミサを終えて帰る人々と入れ違いに教会の中に入ります。蓮の花を象った大きく美しい天井。教会全体が虚飾を排したモダンでシンプルなデザイン。その奥の中二階にパイプの配置がゆったりとした曲線を描くオルガンがあります。
演奏者は立教大学の教授でオルガニストのスコット・ショウさんです。
専攻が18〜19世紀のイギリスのオルガン音楽とエルガーの作品ということで、オール・イギリス・プログラムでした。オルガン作品と云えばバッハなどドイツのものが多いので、確かに今日は珍しいプログラムです。
18世紀に活躍したウイリアム・ボイスの他は、生まれは19世紀でも生涯が20世紀にかかる作曲家の作品ばかりです。普段耳にできないモダンなオルガンの響きを楽しめました。
普段聴き慣れた「木星のテーマ」や「威風堂々」も、パイプオルガンの荘厳で細やかな響きに乗るとまた格別です。
最後に賛美歌の188番*1を皆で歌って終わりました。最初にオルガンで一節演奏した後、オルガンの伴奏で歌うのです。最初はユニゾン*2で歌われていましたが、繰り返すうちに(5番まであるのです)さまざまなパートで歌う人*3が増え、最後にはとても美しい合唱になりました。
ボクは別に何か特別に信仰している宗教はありませんが、<祈りの場>で<祈りの歌>を聴く・歌うという行為は本当に感動的です。
日々の忙しさや喧噪にかまけて「祈る=静かに物事を見つめ、有り様を問い直し、希望を持つ」ことを忘れてしまいがちですが、人が生きて行く基本ですから大事にしたいものです。

*1:プログラムに、このコラールをモチーフにした曲があった

*2:斉唱

*3:賛美歌は大体3〜4声