COMPOSIUM2007

東京オペラシティ文化財団のスタッフの方のお誘いで「西村朗オーケストラ作品展」を聴きに行く。これはオペラシティのメイン事業である「コンポージアム2007」期間中のコンサートで、指揮は飯森範親さん、ピアノは白石光隆さんと小松圭太さん、ヴァイオリンは竹澤恭子さん、オーケストラはNHK交響楽団という強力な顔合わせ。1987年から2007年までの20年間における西村作品の熟成を味わうプログラムとなっていた。
いわゆる主題や調性、テンポなどの概念とは全く異質な概念で創り出される「濃密な大気」とも云える音像は、ときには聴衆、ともすると演奏者の脳髄までも不安定に揺さぶってしまう。現代の日本では、考える間もなく片付けられてしまう「死」への問いかけに西村氏は音による思索を続ける。カタルシスも平穏もなく、見えざるものの蓄積と爆発の後の拭えない不安。確信の持てないほの暗い夜明け。音楽家の持つ表現力の極限を、こういった形で引き出す作家はそうそういないのではないか。音楽で表現することとは、どういうことなのか。それは受け手に対する質問でもある。
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吹奏楽の形態で西村氏の作品を鑑賞するならこれ。「巫楽〜管楽と打楽器のためのヘテロフォニー」が入ってます。2004年のアルバムです。もうそんなになるか。当時、大病を克服された直後の岩城宏之先生の静かなオーラが、録音現場に溢れていたのを思い出します。解説は中橋愛生君、西村先生のお弟子さんです。そういえばボク、この現場で初めて中橋君と出会ったんです。つまり一緒にした初めての仕事でもあります。ちょっとした記念ですね。ジャケットデザインは何だかあっさり決まったのを今思い出しました。