見学

おおみや市民吹奏楽団の練習を見学をさせていただきました。事前に音楽監督をされている秋山先生*1に連絡を差し上げてからお伺いしました。
今日は次回公演の通し練習ということで、当日お伺いできないボクたちとしてはラッキーでもありました*2
秋山先生らしい、吹奏楽「ならでは」の愉しさが伝わってくる前半のプログラミングは往年の人気ラジオ番組「ブラスの響き」*3を彷彿とさせます。行進曲、バラード、ソロやセクションをフューチャーした技巧を聴かせるもの、民謡などを取り入れた興味深い楽曲などで、一曲の長さも短く、聴衆を飽きさせない構成です。この方法論は「古き良き」アメリカの伝統的な吹奏楽団に習っており、先生の知識の深さを改めて感じ入ります。さらに先生の素晴らしいところは「演奏者の技術レベルに応じた」素敵な楽曲を選ばれる、指導者としての眼差しです。
例えば、この楽団は市民吹奏楽団であり、個人の演奏レベルにはバラツキがあります。そういった「事情を踏まえた上で」聴衆に愉しんでもらえるようなフューチャー曲を構成するというのは、本来とても難しいことなんです。脱帽です。
後半の団員主導による特集プログラムも工夫を凝らしたものです。こちらも「自分たちが演奏したい音楽」と「お客さんに楽しんでもらいたい音楽」を自分たちなりに考えて構成されています。市民楽団らしい「手作り感覚」を大事にしている姿勢が好感もてました。
この楽団は一般市民に開かれた楽団のため、気軽に参加できるためか団員数が多いのですが、そうなってくると運営の方はかなり大変です。誰が何をやってるのか、把握しづらい。ネームプレートを下げた運営スタッフがリーダーシップをとって練習を進めていくここのスタイルは、そういった工夫のひとつなのでしょう。誰が何の役割をしているのか、「目で見てわかるようにする」。問題が起こったら、後回しにしないで「その場で解決する」。一見当たり前のことですが、最も疎かにしがちなことです。この楽団が大事にしているそういう姿勢って、他の楽団も見習うべきところが多いな、と思いました。そういう積み重ねが、けっして技術レベルが日本トップクラスでなくてもアメリカ公演を楽しんで実現させたり、コンサートをツアー形式で行えたりできる力になるんでしょうね。
他の楽団を見学することは本当に楽しいし、勉強になります。ひょっとしたら次はあなたの楽団にお邪魔するかもしれませんが、その時はよろしくお願いしますね。

*1:秋山紀夫:世界吹奏楽指導者協会名誉会員。日本の吹奏楽界を世界レベルに押し上げた功労者

*2:見学の目的はもうひとつあったのですが、それは今日の本編とは無関係なのでまた次回

*3:秋山先生もパーソナリティを務めておられました