from the goal line to the start line

朝原宣治さんのラスト・ランをテレビ観戦した。日本の陸上界に悲願のメダルをもたらしたアスリートの一人。自分の大きなキャリアに区切りを付ける真摯なパワーを見た。
ボクにとってはデザインをさせていただいた数多くの本の著者さんの一人であるが、制作中の原稿やご自身の実例写真や校正ゲラから、純粋で前向きな人柄が伝わり、とても好感の持てる方として印象深かった。
トラックでの彼は「もっと速く走りたい」というより「より速く走ることの楽しさを皆に伝えたい」ように見える。全ての努力はそこに向けられている。だから真面目で一所懸命なのに悲壮感もなく、前向きで爽やかだ。これは本の著者としても同じだった。
本を作っていた頃は2007年の世界陸上の前で(というか、その練習に編集スタッフがタイへ同行して撮影した。)、その先の北京五輪を目指すかどうかなど、選手個人としての悩みがとても多い時期だったと思う。
それなのに彼は、この本の出版に意欲的だったし、早く走る技術だけでなく、怪我やスランプからのリカバーの話まで、多くの事を子供たちに伝えることに努力を惜しまなかった。
こういうコツコツとした努力は必ず人に伝わる。だからこそ彼は翌年の五輪で結果を出したし、彼から発せられたメッセージはキチンと子供たちに届いた(2007年11月2日の日記参照)。
これからは指導者として本格的に人に何かを伝える彼の新しい日々が始まる。次のスタートラインを彼はどのように踏んで行くのだろう。いずれにせよ、彼から学んだ子供達が楽しそうに世界の舞台を駆け抜けて行くのを楽しみにしたい。

朝原宣治のだれでも足が速くなる (GAKKEN SPORTS BOOKS)

朝原宣治のだれでも足が速くなる (GAKKEN SPORTS BOOKS)

参考:その1 その2