インターンシップ

インターンシップ制で高校生が昨日今日と実習に来ています。で、ボクは面倒をみる係をボスより仰せつかりまして。
 
O「君たち、漫研なんだってねー」
高「ハイ!」
O「3人とも漫画描いてるの?」
高「いいえ、コミックイラストです」
O「トマリ画だけ?」
高「ハイ。ストーリー描く人も部員にはいますけど」
O「最近の子たちはイラスト描くのもコンピュータ使うんでしょ?」
高「いいえ、手で描いてます」
O「彩色も?」
高「ハイ。絵の具で」
 
安心しました。基本はボクらが高校生の頃と同じです。「もー基本フォトショですよ。3Dも一応やりますけど、基本タブレットで描いてます。特殊効果とかもレイヤーで動かせるし、コミックソフトへの変換も簡単ですしね。次のコミケ近いんで」とか言われたら泣こうかと思ってました。
もっともボクらの当時「コンピュータで絵を描く」というのは、絵が好きな子っていうより、パソコンが好きな子が、自作ゲーム用にプログラミングして「書」いていたモノですが。
  
O「じゃあ、コンピュータってほとんど使わないんだ。」
高「いえ。授業で習います」
O「あ、そうか。今は《情報》って科目があるんだよね」
高「2年までは共通でタイピングとかインターネットで調べ物をする方法を勉強して、3年からは選択でフォトショップとかちょっとさわります」
 
この状況は一見、20年前と全然違います。20年前にも勿論コンピュータはありましたが、研究機関と大企業が使うもので、パーソナルコンピューターなんてスイソーガクブの高校生には何に使っていいやらも分かりませんでしたし、インターネットって言葉すら知りませんでした*1。キャプテンシステムというのもありましたが、高校生のボクにはよく分かりませんでした。ところが今、子供たちは中学の技術科、高校の情報科でパーソナルコンピュータの使い方を「習う」んです。
でもこれは、ボクの母親の時代(昭和30年代)ですら商業高校には「和文タイプ」や「簿記」の授業があったのですから、今《情報》の授業で、タイピングや表計算ソフトの使い方を学ぶのとスキル的には大差ないとは思います。とても実務的なスキルです。
その昔、コンピュータを使うことは、インフォメーションテクノロジーではなくエレクトロニクスの領域で、完全に「理系」でした。趣味としても無線や電子工作と同系列で、そういう理系っ子たちの間では、パソコンを使ってプログラミングをしてソフトを作り、画面上に実行させて遊んでいました。
ところがこの20年でコンピュータは飛躍的に発達しました。パソコンはグラフィカルユーザインターフェース(GUI)で所謂「オートマ化」し、「文系」でも手にとれるシロモノになりました。パソコンはプログラムをして仕組み自体を「創る」ものではなく、創られた仕組み(アプリケーション)を使って実務をする「文房具」になりました。文房具なのだから学校で使い方を学ぶ・・・これは至って自然な流れなのかもしれません。
でも「学校の勉強」になっちゃうと、「落ちこぼれ」も出来ちゃうんですよねー。「出来る子」「出来ない子」に別れちゃう。ボクなんか、こうやって時代と共にダマシダマシ慣れてきたから良かったものの、「学校の勉強」だったら逆に最初から毛嫌いしちゃって間違いなく「出来ない子」でしたね。そしたら今のデザイナーotoshimonoはあり得ませんでしたね。IT黎明期に育ってよかったですよ。
ちなみにボク、未だに「ビデオの予約」も出来ませんから。キッチンタイマーの使い方も分かりません。すんげー機械音痴なんです。
で、本日その機械音痴ぶりを見事に発揮してしまいました。

*1:1988年に初めて商用のインターネットが始まったそうです