The 14th Regular Concert by VIVID BRASS TOKYO

VIVID BRASS TOKYOの第14回定期公演でティアラこうとうへ。メインプログラムとなる後半の《白鳥の湖》が十数曲からなる組曲仕立てとはいえ、全体としては4曲構成でまとめられ、時任康文さんの棒の推進力もあって、一貫して集中力のあるステージだった。
日本のブリティッシュ・ブラスの演奏会*1はプロアマ問わず、ひとつの演奏会にかける曲数が多過ぎる。いくら一曲一曲が短くても、曲ごとにテンションは異なる。新しい曲に移る度に演奏する方も聴く方も気持ちをセットアップし直す必要があるため、合計十数曲もあると正直辛い。結果、後半は全く集中力とスタミナに欠いたステージになってしまうケースが散見され、多くの公演は残念な結果に終わっている。
そういう意味でも「ファンファーレ/ソロをフューチャーしたバラード/ブラスバンドの古典名作/メインプログラム」といった構成の今回は良かったし、大曲となった《白鳥の湖》も団員自らのアレンジであり、バンドの実力を加味しての安全運転の部分とソリストによるチャレンジャブルな部分を使い分けて、破綻なく最後までエキサイティングに乗り切れたと思う。
欧州の実力派と言われているブリティッシュバンドに楽団員やお抱えの作編曲家を擁しているところが多いのは、そういった『上手く聴かせられる』メリットがあるからだろう。
食べる人が美味しかったと思えなければコース料理も食べ物の過多な羅列で意味がないように、聴いた人が愉しめたと思えるボリュームと順序とクオリティのバランスがとれたステージ作りを以て、初めてコンサートは一つの『表現』となる。
そういう手応えを今回この楽団が手にしたのであれば、いよいよ彼らが掲げる《新世代のブラスバンド》に近付くことになる。


ヴィヴィッド・ブラス・トーキョウ 第14回定期公演
2010年5月16日(日)開場 13:30 開演 14:00
ティアラこうとう 大ホール
指揮:時任 康文
P.ラヴァット=クーパー/ウォーキング・ウイズ・ヒーローズ
P.ラヴァット=クーパー/ドニゴール・ベイ(バリトンソロ:山戸宏之)
E.ボール/交響詩「復活」
P.I.チャイコフスキー/小泉貴久編/バレエ音楽「白鳥の湖」より抜粋 
※詳細は上記の団体名をクリックしてVBTのホームページへ。

*1:完全に情報の流れが「欧州→日本」の業界なので世界的な傾向なのかもしれない