インプットのハシゴ

今日は2週間ぶりのオフ。ということで展覧会やら演奏会やらハシゴしてきました。
まずは、うらわ美術館で本日まで開催されていた「これは本ではない」展。電子書籍などが注目を集める今、本をテーマ・素材とした立体作品やインスタレーションをあえて紹介するものでした。「捲り・読み・考える」という一連の作業からは一見切り離されてしまったアート作品としての《本》が、逆に「捲り・読み・考える」という作業を観るものに促すという不思議な感覚を与えてくれました。
電子書籍こそが知を検索し選びとるツールとして本の在り方をリードしていうだろう予見についてはボクは全て同意出来ませんし、紙に文字や絵が刻印され積み重なっている物体にこそ本としての価値や意味があるとも思いません。だからといってテクストや画像を読み解き思索する作業を促す装置こそが《本》であるというのも誇大な夢想だと思います。電子にしろ紙にしろ全く違う何かにしろ、最終的に《本》から個々が解放されて自由に思索出来るようになる事こそが《本》の存在理由だと思います。ではそんな《本》とは何なのか。どこからどこまでが《本》なのか。
我々はそういう意味で、人類史の中でも面白いポイントに立っていると思います。
 
次は多数の友人知人が出演しているアマチュアの吹奏楽団の合同演奏会「さいたま市吹奏楽協会ニューイヤーコンサート」。最近の無料演奏会には高齢の方の来場が多く、この演奏会でも熱心に聴いておられました。
アマチュア楽団の活動が市民文化の一端を支えているのだとすれば、今後我々のような市民音楽家は行政ともしっかり連携を取って底上げをしていく必要があるのではないでしょうか。音楽会運営ひとつにとってもそういう意識を啓蒙するような活動は東京の自治体などでは始まっており、豊島区などは、ボクの仕事仲間でブラス・ヘキサゴンのマネジメントもなさっている文化プロデューサーの吉岡志真さんなどを講師としてお招きして「第3回目白ブランディング講座〜第一線の現場で活躍する文化プロデューサーの指導のもと、2つの演奏会をつくりあげる」というワークショップを無料で開催しています。
個々人の演奏活動もさることながら、市民活動として楽団運営・演奏会の企画運営に携わる事の出来る人材を育てていかねば、すでに始まっている高齢化社会を豊かにすることは出来ないでしょう。
 

そしてさらに浦和から上野に足を伸ばし、夕刻は奏楽堂で開催された「ガンマ・ブラスアンサンブル」の第23回定期演奏会を鑑賞。この楽団はさいたまファンファーレクラブも加盟するNABEOという団体に属しておりまして、昨年の第24回ブラスアンサンブルフェスティバルin戸田でもご一緒したところ。演奏クオリティや音楽性に優れたアンサンブルで昨年はフランスの演奏旅行も経験されております。
重厚かつ美しいサウンドデザインと正確なテクニック、トラディショナルな10ピースブラスに則ったオリジナルアレンジも売りで大変楽しめました。我々が昨年ユーフォニアム奏者の小寺香奈さんをお招きして演奏したバルトークの《ルーマニア民俗舞曲》もガンマのオリジナルアレンジがプログラムにあり、個人的にも大変面白い聴き比べが出来ました。ボクは同じくオリジナルアレンジのヴィラ・ロボス《ブラジル風バッハ第一番》がツボでしたね。今後さらに交流が出来るといいなぁと勝手にラブコール。
写真は、ガンマ・ブラスの会場でもある上野の奏楽堂。このクラシカルさがたまらない。明治23年創建。国の重要文化財指定です。
 
さらにさらにその後、浦和に戻って昼のさいたま市吹奏楽協会演奏会の打ち上げに二次会から参加。客演指揮者の佐川聖二さんや楽団幹部の方々と終電が終わってもグダグダ飲んだくれました。
ひたすらインプットな一日でした。