黙祷

広島の原爆被爆者である祖母が今年の冬の終わりに永眠した。死因はどちらかというと老衰なので、本当にあの惨状をくぐり抜けて力強く長生きしたと思う。そういうわけで今年の広島平和記念式典では慰霊碑に、彼女の名も新たに書き加えられた原爆死没者名簿が納められた。
子供の頃ボクは夏休みになると、本川町で大衆食堂を経営する祖母から余ったパン屑をもらって平和公園に弟と駆けていき、あの慰霊碑の前で夢中になって鳩と戯れていた。その慰霊碑に祖母もいよいよ眠るのだ。
「今年の広島平和記念式典は特別だ」と仰る方がおられるが、今まで一度だって特別でない平和記念式典などなかった。被爆者である親族が亡くなる家族は毎年いるし、国内外の災害や戦争やテロや事故は広島への原爆投下後だって無かった年はない。参加者は毎年特別な思いで平和記念式典に臨んでいる。つまりあなたたちは、今までどういう思いでこの式典が行われてきたのかという「気持ち」を知らなかっただけだ。
今年そういう特別な気持ちを持ったのであったら、
その思いを忘れずにいて欲しい。
そして共に祈り、希望を紡いで生きて欲しい。
 
参考:お店のおばぁちゃん(2011年02月21日)
   原爆の子(2011年03月31日)
追記(8月7日):前バージョンでは祖母はまだ名簿に登録を済ませていないと書いたが、叔父が手続きをしてくれたとのこと。感謝。よってその箇所を更新