真意。

ボクとお仕事をずっとご一緒させていただいているクライアントの担当者さんの中に、いつも刺激的な指摘を与えていただける方がいらっしゃいます。
その方は、とにかく要求のレベルがとても高い。いいモノはいい、ダメなモノはダメと、とてもハッキリとおっしゃる方なのです。しかも100%の仕事では満足されないのです。120%以上の線を越えていくまで延々と再提出と修正が入ります。例えそのデザインを使っての商品の売り上げが結果的に黒字に終わっても満足されません。
その方からすると、どちらかというとボクはダメなデザイナーで、他の商品を担当されているデザイナーさんのように上手くないけど、割と根性あるから使ってくれている、そう思ってたんです。でも最近その方と長い時間お話する機会があり、その真意に触れた気がしました。
その方が仰るには、ボクはクライアント側もコレという決め手のないアヤフヤな注文に対しても、アイデアを出し惜しみせずトコトン提案してくるタイプのデザイナーで、無(に近い状態)から作り出すという事に関しては(そのクライアントさんとお仕事されている)どのデザイナーさんも敵わないそうです。しかし、キッチリ素材や内容が決まっている注文に対して120%で打ち返してきてくれなかった事がこれまで2回ある、こういう素材の一番魅力的なところを引き出せば良いよいう案件に関しては他に物凄く上手にこなされるデザイナーさんがいて、本当ならその方に頼めば訳ない、けど、そういう案件でもボクが120%以上で打ち返して来たことがこれまでも何度もあるから「なんで100%なの? あとの20%はどうしちゃったの!!」ってモドカシクなるし、そこを諦めたくないんだ、と。それぞれのデザイナーに合った仕事を頼み続けるとクライアントとしてもデザインが硬直化してブランドの魅力を欠いてしまう。だから私はあなたに多少不得手かなと思った場合でも120%150%200%を賭けて依頼するし、トコトン文句も言うのだと。
つまり、その方はボクを含めての全てのデザイナーと、そういう気持ちで仕事を臨んでいるわけです。一瞬たりともイージーな方向に流れないという驚嘆すべき精神力と向上心であり、ブランドに対する自信、デザイナーに対する信頼感です。
そして、こんなにもボクを信頼し期待してくれていることに心を打たれました。なんて幸せなのでしょう。こういう仕事というのは制作している最中は見えない苦難の連続なのですが、結果自分自身を大変成長させてくれます。これからも食らいついて、200%以上で打ち返して行きたいです。