呼応

親友とは不思議なものだ。どちらがどうと言わなくても呼応しあい、互いにひっぱり上げる存在だ。
ある二人は東北の田舎で同じピアノ教室に通う幼なじみ。片方が早くから管楽器奏者として頭角を表し名門オーケストラに入団すると、片方は邦楽界の異端児としてジャンルを飛び越えて演奏活動を始めた。そしてある年、二人は地元で示し合わせたようにそれぞれの凱旋公演を行う。そして一方がヨーロッパへ長期の巡礼の旅に出ると、翌年一方がヨーロッパに留学する。
もう二人は東京のデザイン専門学校で知り合う。意気投合し路上で似顔絵パフォーマンスを行ったりしながら、それぞれ商業イラストレーターとして活動を始める。作風も仕事のスタイルも全く違う二人。片方が日本を拠点にしながら世界を股にかけたアーティスティックな仕事が認められ評価が高まるにつけ、片方が日本での多彩な仕事にピリオドを打ちヨーロッパに拠点を移して画家として活動を展開する。
この二組とも今は面と向かって会うことは少ないと思うが、facebookなどでそれぞれの活動を見ているボクからはそれそれ独自の行動がシンクロして見える。本人同士は自然過ぎて当たり前に見えるかもしれないが、奇跡のように同期する一瞬がある。
その鋭敏なパルスの呼応が世界を一層に魅了する。
友情が世界を変えるという少年ジャンプ的概念は、あながちウソではない。