0.25mm


ここ数日新しい書籍のレイアウト設計のため、ずうっと数字と睨み合っている。情報量を確保しながらも可読性をいかに上げるかが今回の命題なので0.25mm〜0.125mm単位で、違いのある組版候補を作っては比べ作っては比べしている。
1文字、1行につき0.25mm(1級といいます)の違いというのは4文字あれば1mm違うのであり、40文字あれば1cmの違いが出てくる。つまり1行につき0.25mm詰めることで40行先では1cm分新しい行を作るスペースが出現する。
例えばこの作業で1ページにつき1行増やす事が出来たとする。1行の文字数が40字分あるとすると10ページで400文字、100ページで4000文字も多く本の中に言葉を収納することが可能になる。書籍の世界では1行の違いは大違いなのである。だからといってやたら文字を小さくして行間を詰めれば良い訳ではないし、逆に文字を大きく行間を空ければ読み易くなる訳でもない。文字の大きさ〜1行の文字数〜行間の空き具合〜書体〜文字がレイアウトされない周りの余白の大きさ(マージンといいます)〜全ての相互関係が、本の役割に合った設計をされなければ「読みにくい」本になってしまう。
これは建築における構造設計と非常に似てる。間違えると情報の秩序が崩壊し書籍として破綻する。だから最初のこの作業が肝心なのである。
で、ブックデザイナーというのはこういうことをチマチマやっているのがかなり好きな人種である。そして0.25mmというのは実に広大に感じる単位だ。