歴史書「古事記」全訳

装丁させていただいた本のご紹介が続きますが・・・

歴史書「古事記」全訳

歴史書「古事記」全訳

「古事記」をご存知ないという方は日本においてまずいらっしゃらないと思いますが、原文(といっても最古の物でも写本です)は勿論、訳文をお読みになった方も実は少ないと思われます。
しかし、この理論整然としない破天荒でエロティックな神話とその子孫である神武天皇から始まる年代記は、編纂期の政治的事情を鑑みてもなお魅力に満ちた物語であり、様々なインスピレーションを我々に与え続けます。
今回、著者である武光誠さんによって上梓された《歴史書「古事記」全訳》は、日本史の専門家でかつ文学博士である氏の観点からだからこそ書ける、古代日本史の最新研究や古事記編纂の謎に迫った解説書という側面を持ちながらも、サーガ&クロニクルとしての古事記の面白さを〈分かり易く〉存分に伝える新しいタイプの全訳本として仕上がっており、読み応えがあります。
装丁のモチーフは日本古代文様の中でも極めて特徴的かつ魅力的な〈直弧文〉。書体は横線の太い黎ミンを古風なレタリング書体に見立てて力強く。ひとつ心残りとすれば、本文デザインも担当させていただきたかったなぁ〜。
手塚治虫さんや藤原カムイさんや安彦良和さんの漫画、團伊玖磨さんのオペラや大栗裕さんの吹奏楽作品などで興味を持たれた方も是非。