ジャズ作曲家宣言!


デザインを担当させていただいた山下洋輔さんプロデュースの挾間美帆さんの公演を聴きに東京オペラシティへお伺いしてきました。
挾間美帆さんにつきましてはご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、いま日本中の演奏家から最も信頼の厚い若手作編曲家です。国立音楽大学在学中より活動を開始し、早くからその才能を開花させてきましたが、特に学生時代の2008年、山下洋輔さんに見出されて彼の作曲したピアノ協奏曲第3番《エクスプローラー》のオーケストレーションを手がけたことが大評判となります。初演の指揮をした佐渡裕さんをして「ヨースケさんのコンチェルトは素晴らしかった。でも今日の最大の収穫はハザマミホですね」と言わしめたという逸話の持ち主です。その後マンハッタン音楽院の大学院でさらに修練を重ね昨年帰国、日本で本格的な活動を始めます。
そして実質上「ジャズ作曲家・挾間美帆」のデビュー公演となったのが山下洋輔さんがプロデュースした本公演です。
終演直後の興奮冷めやらぬうちにボクはtwitterで呟かせていただきましたが、改めてここに記します。

2013年1月11日、日本の音楽家は全員東京オペラシティで挾間美帆を聴くべきだった、後々必ずそう言われる日が来る。何たる才能!

今夜の彼女は山下さんのピアノ独奏曲 "CANVAS in QUIET" をストリング付きのピアノ作品として仕立てて自ら弾き振りしただけでなく、自作の Suite "Space in Senses" ではさらに世界の山下洋輔と連弾しながら指揮も務めたのです。まずはそのプレイスタイルに驚きます。オーケストラ付きのピアノ連弾組曲を自分で書き・連弾し・指揮を振る若く美しき女性、しかもその音楽はとてつもなく創造的で驚きの連続。そんな人、ボクはモーツァルトくらいしか思いつきません。
実際、Suite "Space in Senses" では楽章が終わる毎に拍手と歓声に包まれました。しかもどんどん大きくなっていく。いくら普段ジャズメインで聴いているお客さんが大半の公演とはいえ、毎年の山下ニューイヤーat東京オペラシティに訪れるお客さんですから、通常のクラシックの鑑賞マナーを知らない訳ではありません。つまり知った上での喝采なのです。これは、彼女が本当に驚嘆すべき才能として聴衆の前に現れたからに外ありません。
 
前々から、多くの方の委嘱作品を通じてボクも挾間美帆さんの音楽には触れていましたが、こんな規模でダイレクトに心を掴まれたことはありません。
いやぁ、時代に選ばれた才能というのがいるんですね、世の中には。
 
余談ですが本公演のフライヤデザイン制作をしていた頃、偶然須川展也さんのリサイタルの打ち上げで彼女とご一緒しました。お会いした折にはすでにフライヤは色校正の段階に進んでいたのですが、事前に提出させていただいた複数のデザイン案も全て見て頂けた様で「家族会議して、コレがイイな、でもこっちもイイなって、キャーキャー言いながら見たんです」って楽しそうに話していただけました。
そんなところは等身大の女の子だなぁって、微笑ましかったです。