就活ガールズ

大学三年生の後輩の女の子二人が、就職活動のリサーチとして出版などの仕事について色々聞きたいということで仕事場に訪ねてきました。ボクたちの出身大学というのは首都圏とはいえ地方の国立大ですから自治体職員や教職などの所謂公務員指向が強く、マスコミや出版・音楽やアートや芸能関係に従事する人材が少ないのです。
今まではあまり後輩がこういった話を聞きに来る事は少なかったのですが、ここ数年は増えつつありまして、中にはちゃんと出版の業界に潜り込めた方もいます。
ボクのように情報や表現を送り出す側に就く人間というのは、絶えず別の視点を持たなければなりませんし、新しい方法論に敏感に反応し続けなければなりません。また高いクオリティを目指して動じずに極める力も必要です。非常に地味で孤独な作業の連続です。しかし、それこそが次の時代を開き、社会にコミットしたり牽引したりする力です。
我々はマイノリティであることに対して畏れを感じてはいけない。
いや、絶えず畏れ、疑念を抱き、悩み、苦しみもがき、それでも進み続けなければならない。
地方国立大というのは、こういった考えからは最も遠い部類の教育機関です。タヴーや変化を嫌い、固定され筋道が見えるモノこそ高い価値と見なす傾向が強いのです。それが悪いという訳ではないですし、安定した社会を作る一つの大切な有り様(ありよう)だと思いますが、情報や表現の送り手としては非常に不向きな環境です。
ですからボクが大学を出てから今までの20年は事実上、その価値観の呪縛から脱却の人生でもありました。
場合によっては普段から付き合っている友人たちの価値観を否定しなければならないです。とても辛いですし孤独にもなります。
だから、彼女たちには「この道に足を踏み入れるということは、そういうことになるが良いか」と問いました。しかし彼女たちの感じていた学内や友人たちとの違和感そのものがそれだったらしく「大変腑に落ちた」と言われました。まぁ、ボクに何かを聞きに来る時点で大学の後輩としては少し変わっている存在でしょうからね。
ダークフォースに引っ張られないようにね。もっともドッチがダークフォースだか判んないけど」ってみんなで笑いました。
1時間くらいの話で済むかなと思ったら、気がついたら4時間も3人で話し込んでいました。
ボクとしても面白い体験でした。