祭の始まり。

行き着けの居酒屋で飲んでたら、団体さんが入ってきまして。
お祭りの若連の決起集会なんだとか。
ボクらの住む街は、歴史のある街道沿いの流通センターとして鎌倉時代から存在しているので祭の起源も古く、宝永年間(1700年代初頭)には始まっていたとのこと。町は上町・中町・下町・上峰と4つに別れており、その若者衆が実際に祭を神輿で盛り上げる中心になります。
しばらく穏やかにしていましたが、ある瞬間から急に盛り上がり始めました。
それぞれのメンバーが挨拶の後に一杯ガツッと飲むのですが、そのかけ声が面白い。
(以下、一行一拍で)
 
進行役のにいちゃん
お前ら!(ハイッ!)←皆のかけ声の合いは裏拍で
これから!(ハイッ!)
上町の!(ハイッ!)
●●さんが!(ハイッ!)
挨拶を!(ハイッ!)
するからヨ!(ハイッ!)
心して!(ハイッ!)
聞けや!(ハイッ!)
 
上町の●●さん
お前ら!(ハイッ!)
今年も!(ハイッ!)
祭が!(ハイッ!)
始まるぞ!(ハイッ!)
みんなで!(ハイッ!)
盛り上げて!(ハイッ!)
いくからよ!(ハイッ!)
よろしく!(ハイッ!)
頼むぜ!(ハイッ!)
 
皆で
ソレ・サァホイ!サァホイ!サァホイ!サァホイ・・・(●●さん飲む!)
(拍手!)
 
進行役のにいちゃん
次は!(ハイッ!)
中町の!(ハイッ!)
★★さんが!(ハイッ!)
飲むからヨ!(ハイッ!)
 ・
 ・
 ・
 
てな調子で延々と続くのだ。
もはや、ラップである。音楽として成立している。
上級者はここに冗談まで挟み込んで笑いをとる。
これは今年若連に入った人たちにとってはイニシエーションでもあるのだろう。
ここで、こうやって輪に入って、このラップの挨拶ができるようになって
コミュニティの中で一人前として認められていく。
祭は神輿を担いでその場でガナりあっているだけではない。
祭で繰り広げられる町連同士の喧嘩は信頼関係の中での一種の劇場空間である。
こうやって何百年も若者が紡いでいるものが日本にはまだまだある・・・
 
一緒に飲んでいる人と会話ができないくらい騒がしかったけど
その方も言語系の編集者だったので、ものすごく楽しめた一夜だった。