活版印刷

僕がブックデザインの世界に踏み込んだときには写真植字も最後期でDTP時代の黎明期だったのですが、それでも出版・印刷用語の基本は活版にあり、その成り立ちを理解しなければ全く理解不能な言葉や習わしも多かったのです(実は今でもそうです)。
この動画は、活版印刷の流れを非常にコンパクトに分かりやしく伝えており、印刷にそれほど興味ない方でも大変興味深く観ることができます(宮沢賢治の銀河鉄道の夜でもお馴染みの場面も出てきますよ)。
ところで「活版印刷は、あの押されて紙に出来た文字のデコボコこそが醍醐味で、味があって大変良い」というのが昨今の評価ですが、生粋の活版印刷職人さんに言わせれば、活版は真っ平らに滲みなく美しく刷る技術を以てして本当の職人技であり(そうでないと本がデコボコ撓んで厚くなってしまう)、そんな質の悪い箔押しみたいな印刷はド三流なのだそうですよ(なのでその後、それをいとも簡単に実現してしまうオフセット印刷に押されていく訳なのですが)。